東上野4丁目計画
“Casa de Compostela”
2015年
敷地は台東区、浅草通りから少し入った、古くからの商店が点在する一角、
木造その他の低層建物が、大通りに近い側から徐々に高層に建て替わっていく過程にあります。
計画開始前、今回の敷地にも、老舗の傘問屋を経営する建築主が所有する、築40年の5階建ての鉄筋コンクリート造の建物が建っていて、下部が商店、上部が住居となっていましたが、最近になって、前面道路が災害時緊急避難道路に指定されたために建て替えが必要となり、本計画がスタートしました。
商業地域にあるこの敷地は、建設可能な容積は非常に大きいにも関わらず、間口9.3m、奥行8.1mという非常に狭小な敷地形状であったため、必然的に塔状の建物となり、賃貸階は1フロア1住戸、オーナー住戸も2層では足らず、3層メゾネットとなりました。
敷地周囲を見渡してみると、同じ状況の既存建物や敷地は、多く存在します。今回の計画が一つのテストケースにならないかと考え、計画を進めました。
建設前に存在した建物は、商業地域ということもあり、建蔽率を100%使用しておりました。つまり、隣接する建物との間にほとんど隙間はなく、前面道路からもセットバックすることなく建っておりましたが、今回の計画では天空率の制度を利用して高さ制限をクリアしましたので、建物南側に若干の空地が生まれ、前面道路からのセットバックもわずかですみました。
今回のような塔状の建物への建て替えは、密集市街地の生活環境改善と、災害時のリスクの低減に寄与すると考えます。
DATA
所在地 / 東京都台東区東上野
規模構造 /鉄骨造・9階建
主要用途 / 共同住宅
敷地面積 / 81..00㎡(24.54坪)
建築面積 / 54.45㎡
延床面積 / 452.17㎡(137.02坪)
設計担当/ 池村潤、池村毅
施工 / だいやす建設株式会社